自らの政治メッセージを伝えるため、あるいは世論誘導のためTwitterを駆使するトランプ大統領ですが、2019年6月29日、Twitterで北朝鮮の金委員長に呼び掛け、その翌日には会談を実現させたのには、世界も驚きました。
トランプ大統領のやり方には賛否両論ありますが、何をするかわからない、従来の政治家の外交政策に囚われないという意味では、良い意味でも悪い意味でも新鮮な驚きがあります。
今回の北朝鮮訪問は、G20@大阪の後で韓国を訪問する機会を捉えてのものですが、中国の習近平主席が米国との外交カードとして金総書記と会談したことに対する牽制とも言われています。
外交を基本的ポリシーに則ってというより、ビジネス戦術と同じようにあの手この手で飴と鞭を繰り出すトランプ流。
その手段として使われるTwitterにはこれからも目が離せませんね。
さて、今回のTwitterですが、具体的にどういうメッセージだったのか見てみたいと思います。
Twitterで金委員長へ会談呼び掛け
After some important meetings, including my meeting with the President Xi of China, I will be leaving Japan for South Koeda (with President Moon). 中国の習国家主席との面談を含む重要な会議の後、私は文大統領と韓国に向かうところだ。
While there, if Chairman Kim of North Koeda sees this, I would meet him at the Boarder/DMZ just to shake his hand and say Hello(?)! そこ(韓国)にいる間、もし北朝鮮の金委員長がこれを見たら、彼と境界線で会い、挨拶をすることになるだろう。
Twitter account of Donald J. Trump
気になる単語・フレーズ
President Xi of China: 中国の習近平(Xi Jinping)国家主席
President Moon of South Korea: 韓国の文在寅(Moon Jae-in)大統領
Chairman Kim of North Korea: 北朝鮮の金正恩(Kim Jong-un)委員長
・・・各国首席の呼び方は国によって異なります。大統領はPresidentです。中国は大統領制ではなく国家主席ですが President が使われています。
北朝鮮は正式には最高指導者(Supreme Leader)ですが、一般には朝鮮労働党委員長(Chairman of the Workers’ Party of Korea)から、金委員長(Chairman Kim)と呼ばれます。
それ以外では、日本の総理大臣やイギリスの首相はPrime Minister(Premier)、ドイツの首相はChancellorと呼ばれます。
I will be leaving for South Kore: 北朝鮮に向かう予定だ
・・・will leaveでもいいのですが、敢えてwill be leavingとして今まさに向かおうとしているという臨床感が出ています。目的地を表すのは for です。leave for South Korea で単に韓国に行くのではなく、韓国に向かって行く というニュアンスが出ます。
While there: そこにいる間に
・・・while (I am) there の略。このwhileには色々なバリエーションがあります。
「飛行機に乗っている間、シートベルトを閉めましょう」は ”Fasten seatbelt while seated”。
Shake his hand and say hello: 単に挨拶をする(握手をし、ハローと言う)
・・・行動として「握手をし、ハローと言う」ということで、単に挨拶するだけというニュアンスを出しています。議論をするよりも挨拶をしたいという気持ちがよく表現されています。
The Boarder/DMZ: 軍事境界線、非武装地帯
・・・DMZはThe Demilitalized Zone(非武装地帯)。