年間受験者数が250万人前後に達し、今や就活や昇進などビジネスシーンでも英語能力の判定基準としてすっかり定着した感のあるTOEICですが、どのようにして始まったかご存知ですか?
TOEIC(Test of English for International Communication)は米国の非営利団体のテスト開発機関ETS(教育試験サービス)によって開発されましたが、その開発を依頼したのは日本です。
TIME誌に長く勤めた北岡靖男氏が、日本における英語教育の重要性を認識し、大学入学基準となるとTOEFLではなく、新しいビジネスに適した英語テストとして、1977年にETSに開発を要請。ETS側も単に日本のためというよりグローバルなテストとして開発するという北岡氏の考えに共感し、1979年に経団連と通産省の正式要請を受け開発したものです。
1982年には韓国でも実施されるようになり、現在では世界90国以上で実施されています。(2008年:約90カ国で約5百万人、うち日本で1.7百万人、韓国2百万人)
ただ、その発祥の経緯から、今でも受験者数は日本が最大、次が韓国と、日本で最もポピュラーな英語テストとなっています。
S&W Test
所謂TOEICとは、TOEIC L&R(Listening and Reading) Testのことを指します。
ただ、英語の技能はListeningとReadingだけでは十分とはいえません。
そこで、2007年からS&W(Speaking and Writing) Testが導入されましたが、受験者数はまだまだです。
2018年の国内受験者数は、L&Rが2,456千人に対し、S&Wは39.3千人にすぎません。
とはいえ、L&R受験者数が過去5年間ほぼ横這いなのに対し、S&W受験者数は過去5年間で+40%以上増えています。
まだまだ一般にTOEICといったらL&Rのことを指しますが、学校教育においても会話力が重視されつつある中、今後はS&Wも徐々に拡がっていくと思われます。
あるいは将来的には4技能1セットでひとつのテストになる可能性もあるかもしれませんね。
欧州言語共通枠参照(CEFR)
欧州では、欧州全体で外国語の習得状況を示す際に用いられる共通のガイドラインがあります。
欧州言語共通参照枠(Common European Framework of Reference for Languages: CEFR(セファール))といいます。
区分は、A1:初学者、A2:初級者、B1:中級者、B2:準上級者、C1:上級者、C2:ネイティブと同等、です。
TOEICとの対比表も存在します。
A1 | A2 | B1 | B2 | C1 | C2 | |
L | 60 | 110 | 275 | 400 | 490 | 判定不能 |
R | 60 | 115 | 275 | 385 | 455 | 判定不能 |
L&R | 120 | 225 | 650 | 785 | 945 | 判定不能 |
上記表の通り、CEFRと同じ基準によると、650までが初級者、650から785までが中級者、785から945までが準上級者、945から満点990が上級者、といえるようです。