‘Shame’の意味を知っていますか?
海外で実際に生活すると、学校で習ったのとちょっと違う英語の使い方に気付くことがあります。
そのひとつが、’Shame’です。
この記事では、’Shame’の意味、使い方、類義語である’Sorry’との違いなどについて解説します。
It’s a shame…


何がそんなに恥ずかしいの?
えっ?恥ずかしいなんて言ってないよ!

こんにちは。本サイト運営者、海外駐在歴15年、元金融機関勤務のウサカメです。
‘Shame’ という単語を聞いて、何をイメージしますか?
普通は「恥」ですよね。
「恥」は、日本人の「行動原理」でといわれています。
米国の文化人類学者ルース・ベネディクトや、三島由紀夫の翻訳で知られる日本研究家のドナルド・キーンは、西欧が、人間は罪深き存在であるとする「罪の文化」であるのに対し、日本は、村社会で他人の評価を基本とする「恥の文化」と分析しました。
そういう意味では、恥を意味する ‘shame’ は、日本人にとって特別な重みを持つ単語かもしれません。
逆に、日本人は、日本の「恥」の重みを ‘shame’ に期待しすぎているような気もします。
この記事では、「恥」だけではない’Shame’の意味と使い方を解説します。
「恥」ではない ‘shame’ の意味
‘Shame’ は、実は、「恥」以外の意味でも使われます。
一番よく使われる意味は、「残念」です。
It’s a shame to hear that. それを聞いて残念です。
What a shame you couldn’t come here. あなたが来れなくて残念です。
でも、この例文をみて、あなたはこれを「恥」ではなく「残念」と訳せますか?
ぱっと見、「残念」を「恥」と訳しても、通じますよね。
私がロンドンで勤務していた時、有望視していたチームリーダーが他部のVacancy(欠員募集)に応募しました。そのチームリーダーは、数ヶ月前にその部から当部のVacancyに応募して異動してきたばかりなので、驚きましたが、それを聞いた英人の部長はこうメールで書いてきました。
It’s a shame that he applied to the vacancy of the division he had left a few months ago.
そのメールをみて、部長はそのチームリーダーを非難していると思いました。’shame’ は、当然、「恥」と思ったからです。
でも、よくよく話を聞いてみると、「残念」という意味で使っていたようです。
そもそも「恥の文化」ではないので、日本人ほど「恥」という言葉を使わないのかもしれません。
「恥」の ‘shame’ と「残念」の ‘shame’ の見分け方
「恥」の ‘shame’ と「残念」の ‘shame’、この二つを見分ける簡単な方法が実はあります。
Cambridge Dictionary によると、
- Shame=Bad luck (可算名詞=countable):If something is described as a shame, it is disappointing or not satisfactory.
- Shame=Bad feeling(不可算名詞=uncountable):Uncomfortable feeling of guilt or of being ashamed because of your own or someone else’s bad behavior
とあります。
要は、’a shame’ と ‘a’ が付いていれば「残念=Bad luck」、’no shame’ とか ‘in shame’ など、不可算名詞として使われていれば「恥=Bad feeling」と考えればいいようです。
でも、Bad feelingは「恥」と書いてしまうとやっぱり微妙に違うかもしれません。
辞書の定義にあるように、「誰かの悪い行為の結果、恥ずかしかったり、バツが悪かったり、自分の責任だと思ったりする、居心地の悪い感情」のことなので、単に「恥」だけでなくもう少し意味が広いといえます。

It’s a shame はaがつくから「残念だ」の意味だったんだ!
「恥ずかしい」ならI’m ashamed. 「恥を知れ」ならYou should be ashamed.とかShame on youかな。Shame on meなら「面目ない」だよ。

「残念」という意味の ‘sorry’ と ‘shame’ の違い
‘shame’ は「残念」といいましたが、「残念」という意味で、日本人にもっとよく知られた言葉は、’sorry‘ です。
でも、’sorry‘ もまた、訳す際に迷う言葉です。
I’m sorry.
この言葉を皆さんどう訳しますか?
普通は「ごめんなさい」ですよね。
でも、例えば、お葬式で、「お悔やみ申し上げます」(訃報を聞いて残念に思います)という時も、同じ ’I’m sorry‘ や ’I’m sorry to hear that‘ が使われます。
ただ、この ’sorry‘ の「残念」と ‘shame’ の「残念」は、微妙にニュアンスが違うようです。
Cambridge Dictionary によると、’shame’ は前述の通り
- Shame=Bad luck (可算名詞):If something is described as a shame, it is disappointing or not satisfactory.
ですが、’sorry’ は、
- Sorry=Sad(形容詞):feeling sadness, sympathy, or disappointment, especially because something unpleasant has happened or been done
とあります。
‘shame’ は ‘bad luck’、‘sorry’ は ‘sad’、のニュアンスを含む「残念」ということです。
これは英語が難しいというより、日本語が難しい、あるいは、英語と日本語の意味が一対一対応しないことによる難しさからくるものですね。
やはり、英単語は、単語帳みたく一対一対応で覚えるのではなく、辞書や文脈の中で、正しい意味、正しい使い方を覚えないといけないと実感させられます。

だから「お悔やみ」はIt’s a shameじゃなくてI’m sorryなんだね!
アルク英辞郎で確認できる ’Shame’ の用例
ALC(アルク)の英語辞書アプリ、英辞郎で ‘shame’ を調べると、’shame’ 自体の意味説明の後に、shame を使った用例がたくさん出てくるので参考になります。
「恥」の意味の用例
Shame! : 恥を知れ!、この恥知らず!、みっともない!
Shame at : 〜に対する恥辱(恥ずかしさ)
Shame at a homicidal thought : 殺人を考えたことに対する恥辱感
shame culture : 恥の文化(注:罪の文化は guilt culture)
shame for ever: 末代までの恥
Shame in a kindred cannnot be avoided : 身内の恥というものは、避けることができない(ことわざ)
shame of feeling : 恥ずかしい気持ち
shame of the family : 一家の恥(面汚し)
shame of the whole world : 全世界の恥
shame on : 〜に対する恥辱(不名誉)
Shame on me : 面目ない、情けない、反省しなければならない
Shame on you! : 恥を知れ!、この恥知らず!、みっともない!
shame one’s family : 家名を汚す
Shame, shame! : この恥知らず!
shame someone for : 〜で(人)の面目を失わせる、〜で(人)に恥をかかせる
shame someone into : (人)を辱めて〜させる
shame someone out of : (人)を辱めて〜をやめさせる
bring shame on : 〜を辱める
crying shame : 非常に残念なこと
everlasting shame : 生涯続く不名誉、取り返しのつかない汚名
などなど(まだまだ載っています)
「残念」の意味の用例
It’s a shame : ひどい話です
It’s a shame for a person of your age to be dressed like that : いい年をしてそんな格好をするなんて、みっともないぞ
It’s a shame more people don’t use the facility : もっと多くの人にその施設を利用してもらわないともったいない
It’s a shame not to take advantage of this opportunity : このチャンスを利用しないのは、もったいない
It’s a shame that she was taken ill just before the test : 試験の直前に病気になるなんて、気の毒に
It’s a shame that the land development should destroy the beautiful forest : 土地開発でその美しい森が損なわれることは残念です
It’s a shame that you had to cancel your trip due to illness : あなたが病気で旅行をキャンセルしなければならなかったとは残念なことだ
It’s a shame to let such an opportunity just pass : この機会をみすみす逃すのは惜しい
It’s a shame to see him retire : 彼が引退するとは残念です
It’s a shame to treat him like that : 彼をあのように扱うなんてあんまりだ
What a shame:それは残念ですね、ひどい話ですね、何ともお気の毒です
What a shame I missed it:行けなくて残念でした
What a shame it would be to die now : 今死ぬのは残念でならない(悔しくてたまらない)
What a shame that he committed a drunken driving offense and caused an accident! : 飲酒運転して事故を起こしたとは、彼は何とひどいことをしたのだ!
What a crying shame!:非常に残念です
It is a shame to : 〜するのはもったいない、〜とは残念である、〜は困ったことだ
It is a shame to see : 〜を目にするのは残念です
It would be a shame to miss Kyoto in the spring : 京都の春を見逃すのは残念です
などなど(まだまだ載っています)
まとめ
1)a shame なら、残念=bad luck の意味
2)a がつかなければ、恥、責任を感じること=bad feeling、being ashamed、feeling guilty の意味
1)It’s a shame というときの「残念」は、bad luck, disappointing, not satisfactory の意味
2)I’m sorry というときの「残念」は、feeling sadness, sympathy, or disappointment の意味
英単語と日本語の単語の意味は、必ずしもきれいに一対一対応しません。
辞書でよく意味を確認し、文脈の中でどういう意味で使われているか、正しい意味、正しい使い方をよく見る必要があります。
簡単な単語ほど意外といろいろな意味を持ち、使い方が難しかったりします。
できるだけ生の英語表現に触れ、自然な英語の文例のインプットを増やすことが、結局は近道です。
急がば回れ!だね
