マンガ英語版の読み方
マンガの英語版は英語の勉強のよい材料です。
多読・流し読みもよいのですが、時に原文と対訳を比較し、この英訳は上手だなといのは真似をし、この英訳はイマイチだなという場合は自分ならこう訳すという代案を考える、そうした作業を一部のページだけでいいのでやってみる、というのも効果的です。
ワンピース第1話対訳
下は、第1話の最後、ルフィがシャンクスから麦藁帽子を預かる有名なシーンです。
左は英訳版、右は日本語原文のセリフです。
それほど難しくないのでちょっと読んでみてください。うまいな、という英訳と、これはちょっとという英訳、両方あると思います。勿論、この辺りは各人の感性もあるので、人によって感じ方は異なるとは思いますが。
「安いもんだ」「腕の一本くらい」「無事でよかった」うわああああ」「シャンクスが航海に連れて行ってくれない理由」「海の過酷さ」「己の非力さ」「何よりシャンクスという男の偉大さをルフィは知った」「こんな男にいつかなりたいとルフィは思った」
「この船出でもうこの町には帰ってこないって本当?」「ああ」「随分長い拠点だった。ついにお別れだな」「悲しいだろ」「うんまあ悲しいけどね」「もう連れてけなんて言わねえよ」「自分でなることにしたんだ、海賊には」「どうせ連れてってやんねーよー」「お前なんかが海賊になれるか」「なる」「俺はいつかこの一味にも負けない仲間を集めて」「世界一の財宝みつけて」
「海賊王になってやる」「ほう、俺たちを超えるのか」「じゃあ」「この帽子を」「お前に預ける」
「俺の大切な帽子だ」「いつかきっと返しに来い」「立派な海賊になってな」「あいつは大きくなるぜ」「ああ」「なんせ、俺のガキの頃にそっくりだ」「錨を上げろ」「帆を張れ、出発だ」「そして少年の冒険は」「10年後のこの場所から始まる」
対訳に対する個人的意見
如何ですか?
私の個人的意見は次の通りです。
原文 | 英訳 | 個人的意見 |
シャンクスが航海に連れて行ってくれない理由、海の過酷さ、己の非力さ、何よりシャンクスという男の偉大さをルフィは知った。 こんな男にいつかなりたいとルフィは思った。 | The Reason Shunks didn’t take Lucy with him is that the sea is unpredictable place. It’s not something that humans can control. But Lufy understands how great Shunks really is and he hopes to be just like him in the future. | 決して悪くはないけれど、ちょっと微妙な訳ですね。 文の切れ目が異なるので原文と意味がかなり変わっています。 |
悲しいだろ? | Are you upset? | いい単語の選び方ですね。悲しいに含まれる、動揺、狼狽、驚きといったニュアンスが表されています。 |
お前なんかが海賊になれるか。 | You don’t have what it takes to become a pirate. | いいですね。単に「海賊になれない」ではなく、「海賊になるための『何か』がお前にはない」ということで「お前なんか」の「なんか」のニュアンスが出ています。 |
お前に預ける。 | It’s my gift to you. | うーん。「預ける」=「いつか返しに来い」のニュアンスがgiftでは上手く伝わらない気がします。 |
いつかきっと返しに来い。 | You’ll return that hat to me. | willはいいのですが、単にreturnだと、返しに来いの「来い」の部分が弱いように思えます。シャンクスに辿り着くまでの旅路が大事なので、そこを強調してほしいところです。 |
皆さんはどう感じましたか?
いいなと感じた訳は自分でも使ってみる、いまいちだなと思える訳は自分ならこう訳すのにと考えながら読む。多読とは違った楽しみ方は如何でしょうか?