2020年9月12日、プロテニスプレーヤー大阪なおみが全米オープンで2018年に次ぐ2度目の優勝を果たしました!
決勝戦では第1セットをとられ相手にリードされながら、追いつき、逆転したメンタル面での成長が話題になりましたが、それ以上に注目されたのが、人種差別問題に対する抗議活動で示した社会問題への発信力です。
彼女は必ずしも自分の主張を声高に叫ぶのではなく、社会の注目を集めることで、人々が人種差別問題について考える機会になって欲しいと考えていたようです。
優勝した後の表彰式で、そうした彼女の考えも語られています。
優勝インタビュー
And, now it’s time to hear from, with a few questions and answers, our champion, Naomi Osaka.
さて次はチャンピオン、大阪なおみへの質疑応答です。
司会者のNaomiの発音がネイオミですね。
aの上にアクセントが来るとフォネティック的にはエイとなるのが一般的だからでしょうけど。
まあ、日本語でも外国人の名前を発音するときにカタカナ発音に変えてしまいますから、当然かもしれません。
(オードリー・ヘップバーンのヘップバーンとヘボン式ローマ字のヘボンはどちらもHepburnで実は同じ苗字ですし)
Um, yeah, firstly I wanna congratulate Vika(Victoria Azarenka)
I actually don’t wanna play with you in more finals.
I didn’t really enjoy that.
It was a really tough match for me.
And yeah it’s really inspiring for me because I used to watch you play here when I was younger.
So, just to have the opportunity to play with you is really great and I learned a lot. So thank you.
最初にVika(Victoria Azarenka)を讃えたいわ。
本当にもう決勝戦では戦いたくないわ。
本当に大変だったの。
私にとっては本当に厳しい試合だったわ。
そして、そう、私にとってはとても刺激的だったの。だって、若いときあなたがいつもこの場所で試合するのをみていたんですもの。
だから、あなたと試合する機会を持てたなんて本当に素晴らしいし、多くのことを学んだわ、ありがとう。
I didn’t really enjoy that.と聞くとドキッとしますが、次のIt was a really tough match for me.と同じ意味です。
inspiringは「奮起させる」「奮い立たせる」「元気づける」「鼓舞する」です。日本語としてもインスパイアはよく使われますが、「想像をかき立てる」の意味で使われることが多く、ここでの意味と少し違いますので注意してしてください。
And then I wanna thank my team.
They’re over there somewhere just for sticking with me.
I know, the year, the beginning of the year wasn’t that great.
So, yeah, just thank you for believing in me.
それから、私のチームにも感謝しています。
彼らはどこかあの辺にいるわね。ずっとそばにいてくれるの。
今年は最初はあまり調子良くなかったのよね。
だから、私のことを信じてくれてありがとう。
over there somewhereは「どこかあの辺り」です。over thereですが、場所がはっきりしない時に使えますね。
believe inは「(人)を信頼する」「〜の存在(正当性)を信じる」の意味です。
And then I wanna thank the WTA(Women’s Tennis Association), the tournament directors, the tournament organizers, the ball staff, the ground crew, and the USTA(United State Tennis Association) for providing a safe environment, um, and also the sponsors, JP Morgan, everyone for making this tournament possible.
それから、女子テニス教会、トーナメントの理事や運営者、ボール・スタッフ、地上スタッフ、全米テニス教会の皆さん、安全な環境を提供してくれてありがとう。
スポンサー、JPモルガン、皆さん、このトーナメントを開催してくれて感謝しています。
providing a safe environmentは「安全な環境を提供する」、making this tournament possibleは「このトーナメントを可能にする」です。どちらもコロナ禍の今ならの表現ですね。
And I wanna thank all my people, I’m sorry for making it long, I’m thinking, I wanna thank all my people at home, my mom, my dad, my sister, yeah, thank you I wouldn’t be here without you guys.
それから、家族にも感謝しています。ごめんなさい、長くなって。家のみんな、お母さん、お父さん、お姉さん、ありがとう。みんながいなかったらここにはいないわ。
my peopleはここでは自分の家族を指しています。
I’m sorry for making it longは「長くなってごめんなさい」です。スピーチの際には使える表現ですね。
I wouldn’t be here without you guys.は「みんながいなかったらここにはいない」です。これも使えるいい表現ですね。guyは単数形では通常男性をさしますが、複数形では、男女混合だけでなく、女性だけに対しても使われます。映画でも、女性主人公が女友達たちにyou guysと呼びかけるシーンをよく見ます。
Naomi, there was a moment right after the match concluded.
You crossed over to the other side of the net, and you just lay down on the court.
What was running through your mind?
なおみ、試合が終わったすぐ後、ネットの反対側に行き、コートに寝転びましたね。
何が心によぎりましたか?
right afterは「すぐ後」、concludeは「完了する」「終了する」です。
a moment right after the match concludedで「試合が終わったすぐ後」という意味になります。
lay downは「横たえる」「寝かせつける」です。実際、試合後、ゆっくりと寝転がるシーンが印象的でしたね。
run through one’s mindは直訳では「心の中を走る」。つまり「心によぎる」という意味です。
Um, yeah, becase I always see everyone sort of collapse after match point but I always think you may injure yourself.
So, I wanna do it safely.
えーと、いつもみんなが試合の後、倒れ込むのをみてきたわ。でも、いつもみんな怪我するんじゃないかって考えてたの。
だから、私は安全にやりたかったのよ。
sort ofは「〜みたいな」です。kind ofも同じ使われ方をします。
injureは「傷つける」、injure oneselfで「自分を傷つける」「怪我をする」になります。
I wanna do it safely「安全にやりたかったの」はなおみ流ジョークですね。インタビュアーも笑ってました。
You are the first finalist since 1994.
The last 25 who lost the opening set, lost the match.
What was the turning point for you, coming back and winning?
あなたは1994年以降で初めてのファイナリストです。
過去25年、決勝戦で最初のセットを落とした選手はみんな試合に負けています。
あなたは持ち直して勝ちましたが、何がターニング・ポイントだったのでしょうか?
The last 25は、「1994年以降25年間のファイナリスト25人」のことです。
coming backは最初のセットを落として不利な状況から戻ってきたことを指します。
しかし、決勝戦で、第1セットを奪われてから立ち直り優勝した選手が過去25年間で誰もいなかったのも驚きですし、それを初めて成し遂げた大阪なおみ選手も凄いですね。
Yeah, I mean for me, I just thought it would be very embarrassing to lose this in under an hour.
So I just have to try as hard as I can, and stop having a really bad attitude.
えーと、1時間足らずで負けちゃうなんて恥ずかしいって考えたの。
だから出来るだけ頑張って、本当に悪い態度は止めるようにしたの。
in under an hourは「1時間足らずで」という意味です。「1分足らずで」ならin under a minuteとなります。
You said from the beginning you had seven matches, seven masks, seven names.
What was the message you wanted to send, Naomi?
あなたは最初から、七つの試合で、七つのマスク、七つの名前を使うって言ってましたね。
あなたが発信したかったメッセージは何だったのでしょうか、なおみ?
seven matches, seven masks, seven names「七つの試合で、七つのマスク、七つの名前」、印象的な表現ですね。 ちなみにスポーツの試合は、野球はgameですが、テニスは通常matchが使われます。
send messageは「メッセージを発信する」です。
Um, well, what was the message that you got.
It’s more than question, I feel like.
The point is to make people start talking.
そうね、あなたが受け取ったメッセージは何だったのでしょうか?
それは質問以上のことだって思うの。
ポイントは人々に話を始めさせるってこと。
What was the message that you got.と質問には質問で切り返しています。
make people start talkingはでmakeは使役動詞で「人々に話を始めさせる」となります。
What were you most gratified about the awareness that you raised.
あなたが提議した認識で、一番嬉しかったことは何ですか?
be gratifiedは「喜ぶ」「うれしがる」です。
raiseの原義は「上げる」ですが、ここでは「(問題を)話題にする、取り上げる」となります。
awarenessは「(あることに)気付いていること」です。
Um I mean for me, I’ve been inside of the bubble.
So I’m not really sure what’s really going on in the outside world.
All I can tell is what’s going on on social media, and for me I feel like you know, the more retweets it gets, or that’s so lame, but you know, the more people talk abut it.
私は泡の内側にいたようなものなの。だから、外の世界で何が本当に起きているのか、自信がないの。
私が言えることは、何がソーシャル・メディア上で起きているかだけ。より多くのリツイートを得れば、そうじゃないと情けないけど、よりいっぱい人々がそれについて話すだろうってこと。
ここでいうinside the bubbleは「自分はテニスばかりしていて他の世界のことはよく知らないけれど」ということを比喩しているのだと思います。
or that’s so lameは「そうでなければ情けない」の意味です。ここでのorは「あるいは」ではなく「(前文を受けて)そうでなければ」です。lameは「ダサい」の意味です。
What are you most proud of about your time here in New York?
ここNYで過ごした時間で、最も誇りに思うことって何ですか?
be proud ofは「〜を誇りに思う」です。
Me, I think I fought for every match starting with the cincinnati tournament leading up to here so.
シンシナティ・トーナメントから始まって全ての試合を全力で戦って、ここまできたってことかしら。
シンシナティはオハイオ州の都市です。
leading up to hereは「ここに繋がる」です。leading to hereでもいいのでしょうが、up toとすることで決勝という高みまで登ってきたというニュアンスが出ていると思います。
Congratulations, the champion of the 2020 US Open, Naomi Osaka, please Naomi lift up your trophy.
2020年USオープンのチャンピオン、大阪なおみでした。おめでとう。
なおみ、トロフィーを持ち上げてください。
lift upは「持ち上げる」です。ちなみに、英国ではエレベーターのことをliftと言います。
まとめ
2年振りのUSオープン優勝!
優勝インタビューでも、自分の考えをしっかりと伝える姿勢が好感が持てますね。
これからのますますの活躍を期待しています!