ウェスト・エンド、ブロードウェイでも高い人気を誇る傑作ミュージカル Matilda(マチルダ)が、2023年3月、ついに日本オリジナルキャストで公演されることになりました!
私もロンドン駐在時代に一番好きで何回も見たミュージカルです!
子供が主人公ということもあり、日本での公演は難しいのかなと半ば諦めていましたが、思わぬ実現のニュースにワクワクが止まりません。
この記事では、「マチルダ」の魅力、英語原作の買い方、ロンドンのミュージカル情報、ミュージカル代表曲(英語)、日本公演情報などをご紹介します。
英国児童文学Matilda(マチルダ)とは
Matilda(マチルダ)は、英国児童文学の巨匠、Roald Dahl(ロアルド・ダール)(1916年ー1990年)の代表作です。
マチルダは文学と数学に素晴らしい才能を持つ天才少女。しかし父親はポンコツ車を高級車と騙して売るインチキディーラー、母親はカジノのビンゴに入り浸り。二人は冷凍食品を食べながらテレビを見るのが大好きで、マチルダを馬鹿者扱いし怒鳴りちらします。
そんな環境でも、マチルダは泣き寝入りをせず、イタズラで仕返しします。
小学校に行くようになると、子供が大嫌いな元ハンマー投げ選手の校長先生トランチブルの支配する世界。担任のミス・ハニーはマチルダの才能に気づき、飛び級させるべきと主張するが、トランチブル校長に一蹴され、、、、
といったお話です。厳しい環境でもへこたれず、時に逆襲をしながら、自力で道を切り開く、マチルダはそんな魅力的な少女です。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/マチルダは小さな大天才
原作本の買い方
原作本は、英語原作(Matilda)、日本語訳(マチルダは小さな天才)ともアマゾンや楽天などで購入できます。
楽天によると、英語難易度はTOEIC470程度とのこと。実際、児童書なのでそれほど難しくなく、中学生程度でも十分読める内容だと思います。
日本語訳を一度読んで内容を理解した上で、英語原作を読むと、より頭にスッと入りますよ。
原作者ロアルド・ダールの他の作品
Roald Dahlの他の有名な作品には、Disney制作・Tim Burton監督のCharlie and the Chocolate Factory(邦題:チャーリーとチョコレート工場)、Disney制作・Steven Spielberg監督のThe BFG(邦題 BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント)があります。
ミュージカル@ロンドン
Matildaは1996年に米国で映画化されていますが、残念ながら映画の出来はイマイチです。Matildaはやはり原作本とMusicalです。特にMusicalは秀逸です。
ミュージカルは2010年に英国のロイヤル・シェークスピア・カンパニー(Royal Shakespeare Company)が制作し、ストラトフォード=アポン=エイボンで試験興行後、2011年にロンドンのウェスト・エンドで公演。2013年にはNYのブロードウェイでも公演開始。その後、オーストラリア等でも公演し、世界中で愛され、大成功しているミュージカルの一つです。
このミュージカルの特徴は、登場人物の大半が子供だという点にあります。
子供はすぐ大きくなってしまうので、ロンドンでは、主要な子役は半年もするとドンドン変わっていっていました。また子供で毎日は出演できないので、常時3人程度交代で回しています。そういう意味では、何回観に行っても、毎回出演者が変わっていて、変化も楽しめました。
一方、上級生役は、Royal Shakespeare Companyの大人の役者が演技し、安定感を示しています。小学1年生の子供からみると上級生は大人のように見えるという実感を表しているという意味でも、成る程と思わせる演出です。
ミュージカルのストーリーは原作とほぼ同じですが、ラストシーンだけかなり異なります。原作は切なさ・やり切れなさが残り胸がちょっと痛いラストでしたが、ミュージカルはハッピーエンドで終わっています。Roald Dahlの作品は風刺が効いたものが多いのですが、ミュージカルは楽しい気持ちで帰って欲しいということで変えたのでしょう。通常はこの手の修正は嫌いなのですが、これに限っては成功しているといえます。
Matilda のミュージカルナンバー(英語版)
楽曲もみな素敵ですが、お気に入りは、NaughtyとWhen I grow up、そしてRevolting Childrenです。特にNaughtyの歌詞は、大人にとっても幾つになってもいえることで、元気をもらえます。
Jack and Jill, went up the hill
To fetch a Pail of water, so they say
Their subsequent fall was inevitable
They never stood a chance, they were written that way
Innocent victims of their story
Like Romeo and Juliet
T'was written in the stars before they even met
That love and fate and a touch of stupidity
Would rob them of their hope of living happily
The endings are often a little bit gory
I wonder why they didn't just change their story?
We're told we have to do what we're told but surely
Sometimes you have to be a little bit naughty.
Just because you find that life's not fair it
Doesn't mean that you just have to grin and bear it
If you always take it on the chin and wear it
Nothing will change.
(中略)
And that’s not right!
And if it's not right!
You have to put it right!
But nobody else is gonna put it right for me
Nobody but me is gonna change my story
Sometimes you have to be a little bit naughty
因みに、冒頭のジャックとジルは、日本ではあまり馴染みがありませんが、マザーグースの歌で、水を汲みに丘へ出かけたジャックとジルが、転んで王冠を壊してしまう話です。その後のロミオとジュリエットは有名な話なので皆知っていると思います。どちらも悲劇ですが、Matildaは、その運命にThat’s not right と疑問を呈します。不公正(Life is not fair)だと感じたなら、何故、その運命を自分で変えようとしなかったのか(I wonder why they didn't just change their story?)と。現状に甘んじていては何も変わらない(If you always take it on the chin and wear it, nothing will change.)と。
特に最期のNobody else is gonna put it right for me. Nobody but me is gonna change my story.のくだりは正にその通り。自分の人生は自分で切り開いていくんだという気持ちにしてくれます。
子供向けとバカにしたものではありません!大人にこそ観てほしい一作です。
ミュージカルのアルバムを購入可能です。
ミュージカル日本公演
日本公演は、2023年3月22日から5月6日、渋谷の東急シアターオーブで予定されています。
2022年9月21日には、出演者も発表されました。
ホリプロステージのHPでは、主要な出演者のコメントも紹介されています。
https://horipro-stage.jp/stage/matilda2023/
まとめ
残念ながら日本では決して知名度が高いとは言えませんが、マチルダは間違いなくミュージカルの傑作です。
今回の日本公演で、マチルダの知名度が上がり、少しでも多くの人にこの作品の素晴らしさを知ってもらいたいと思い、この記事を書いています。
日本公演も今回は短期間ですが、いつかロングラン公演になることを期待しています!