SF界の巨人 Robert A. Heinlein (ロバート A. ハインライン)
Robert Anson Heinlein(ロバート・アンスン・ハインライン)(1907年7月7日〜1988年5月8日))は、Isaac Asimov(アイザック・アシモフ)、Arthur C. Clarke(アーサー・C・クラーク)と並び米国を代表するSF作家でSF黎明期を支えた巨人の一人です。
SFあるいはSci-Fi は、Science Fiction の略です。Sci-Fiという略語自体、1948年、ハインラインが私的書簡で最初に使ったという説があります。
1960年、SF・ファンタジーの大賞 The Hugo Awards(ヒューゴ賞)を受賞した Starship Troopers(宇宙の戦士)は、作品も素晴らしいですが、それ以上に、作中に登場する「パワードスーツ」が、日本のSFアニメに与えた影響で有名です。
パワードスーツとは、兵士が「着る」、すなわち着衣のように装着して体全体で操縦する、「装甲を施した宇宙服型ロボット兵器」です。その後、多くのSF作品で類型の兵器を生む源流となり、日本のSF界では、機動戦士ガンダムにおいて、「モビルスーツ」というアイデアに繋がります。
さて、今回紹介するのは「宇宙の戦士」ではなく、The Door into Summer (夏への扉)です。「夏への扉」は1956年に発表されたロマンティックなタイム・トラベル物で、特に日本において高い人気を誇ります。
夏への扉: ストーリー概要
舞台は1970年の米国ロサンゼルス。1主人公ダンの愛猫ピートは、冬になると家中の扉を開けてくれとせがむ。ピートは、扉のどれかが明るく楽しい夏へ通じていると信じて疑わず、「夏への扉」を探しつづけ、決して諦めないのだ。そして、ダンもまた「夏への扉」を探していた。
技術者のダンは親友のマイルズと会社を起こす。会社は順調に新商品である家事ロボット Hired Girl 発売の準備を進めるが、ダンは、マイルズとダンの婚約者のベルに騙され全てを失う。
ダンは、冷凍睡眠で30年後の2000年の世界で目覚め、そこで自分の開発した家事ロボットが普及しているこを知る。
しかし、マイルズは既に死亡、ベルも寂しい人生を送っていた。
謎を探るため、軍事機密のタイムマシンを使い、1970年に舞い戻り、全て自分で解決する。
昔から自分に好意を寄せていた少女リッキーに、21歳になったら冷凍睡眠するよういい残し、2人は2001年に再会、幸せな生活を送る。
しかし、それでもなおピートは「夏への扉」を探しつづけている。彼は「夏への扉」があると信じ、探すことを諦めないのだ。
そして、ダンはもちろんピートが正しいと思っている。
以上があらすじです。
Opening とEnding の猫のピートがとても可愛い!
「扉を開ける」という行為は、何か新しいことに繋がる、新しいことを見つける、ことをイメージさせる。
その何かが「夏」のような明るい未来であれば、さらにワクワクする。
そんなハッピーな、読んでいて楽しい、何度でも読みたくなるストーリーです。
最後に、Opening からの引用を原文で紹介します。
“I was not in bad health (aside from a cumulative hangover), I was still on the right side of thirty by a few days, and I was far from being broke. No police were looking for me, nor any husbands, nor any process servers; there was nothing wrong that a slight case of amnesia would not have cured.
But there was winter in my heart and I was looking for the door to summer. If I sound like a man with an acute case of self-pity, you are correct. There must have been well over two billion people on this planet in worse shape than I was. Nevertheless, I was looking for the Door into Summer.”