Happy Holidays という言葉をご存じですか?
一般にクリスマスシーズンから新年にかけて使われる言い回しです。(11月第4木曜の Thanksgiving dayから使われる場合もあります)
以前は、”Merry Christmas and Happy New Year” が一般的でしたが、近年は、特に米国で、 “Happy Holidays” という言い方が増えてきています。
そもそもクリスマスとは?
Christmas のChrist はキリストです。Christmas はキリストの生誕を祝うミサという意味です。日本では恋人同士のイベント化しているため、ともすると忘れがちですが、クリスマスはキリスト教の行事です。
12月25日にユダヤのベツレヘムでキリストが生誕し、東方の三賢者が、流れる星を見てやってきて、贈り物を渡したのが1月6日といわれています。
そのため、カソリックでは、12月25日から1月6日までがクリスマスで、クリスマスプレゼントは1月6日にあげるのが、伝統的な風習とされています。
なぜメリークリスマスではだめなのか?
では、なぜ近年、Merry Christmas ではなく、Happy Holidays というように変わってきたのでしょうか?
それは、米国にはキリスト教徒でない人もいるからです。
キリスト教徒が一番の多数派だからといって、そうでない人にも当然のように Merry Christmas というのは「差別」であるという考え方が浸透してきたからだと思います。
近年増えてきたといいましたが、一部では大分前からすでに取り組まれています。
20年ほど前の12月にディズニーワールドに行った時のビデオを見返していたら、サンタが Happy Holidays と言っていました。
日本のディズニーランドでも、Merry Christmas ではなく Happy Holidays を使うよう徹底しているようです。
最近の米国そして世界の流れの反動
一方で、最近のニュースを見ていると、実際にはその逆の考えに基づいた政治的動きや事件が目に付きます。
欧州では極右政党が勢力を増しています。
米国でも、不法移民を排斥する動きの裏で、合法移民への風当たりが強くなっているようです。
また、人種差別や宗教差別に起因するヘイトクライムも目立ってきています。
そうした動きの一方で、そうした流れの反動として、差別に繋がる言葉に従来以上に敏感になってきているのではないでしょうか?
Happy Holidays はいつから使われているのか?
ただ、Happy Holidays という言葉自体は、差別に反対するために新たに作られた言葉ではありません。
1800年代後半には既に使われていたという記録があります。
11月後半以降、Thanksgiving day、Christmas、New Year と祭日が続き、年末にかけて休暇を取る人が多いことから使われただしたようです。
ただ、近年、差別反対を意識して従来以上に使われだしたのも事実のようです。
偽善という人もいるかもしれません。
でも、マイノリティに気を遣い、配慮をする、そうした優しい社会は意識して作っていかないと自然に出来るものではないのだと思います。
日本は特殊?
日本では宗教的行事はイベント化しています。
生まれた時は神社にお参りし、結婚式はにわかキリスト教徒として教会で行い、亡くなるとお寺で葬儀をあげる。正月は神社、クリスマスは教会。いろいろな行事に合わせて使い分けています。
神道は八百万の神を奉り、仏教が入ってきた際も、神のひとつとして受け入れられたという歴史的背景もあるのかもしれません。
でも、日本にもマイノリティはいます。
無意識の差別を避けるため言い方を変えてみる。Happy Holidays に限らず、意識してみたいですね。