10月末までにEU離脱を言明していたジョンソン首相、9月の国会閉会や国民総選挙開催、国会解散動議などあの手この手で自身が取り纏めた離脱案の国会承認を得ようとしていますが、なかなか上手くいっていません。
取り敢えず、1月末までの3ヶ月期限延期につきEUから合意を取り付け、合意なき離脱の危機は脱しましたが、国内での利害関係が複雑でどのグループも主導権を握れる目処は全く立っていません。
このまままたズルズルと3ヶ月がアッと言う前にまた経過するのではないかと危惧されましたが、29日、こんどは国会解散動議ではなく、12月解散総選挙の特例法案提出により、どうやら総選挙が実現しそうです。
日本は首相に国会解散権がありますが、英国首相にはありません。解散総選挙動議には下院の3分の2の同意が必要です。しかし、特例法案は上下両院の承認が必要ではありますが、過半数の承認でよいため、承認される可能性が高まったものです。
総選挙となると国民の人気の高いジョンソン首相を有する保守党が有利とみられますが、一方で、この総選挙は実現した場合、離脱か残留を問う再国民投票の意味合いがあることから、果たしてどうなることか、引き続き英国情勢からは目が離せません。
さて、ここで基本に立ち返り、BREXIT関連の英単語をおさらいしたいと思います。
BREXIT関連英語ニュースを読む際の参考にしてください。
BREXIT関連英単語
BREXIT:Britain と Exit の混成語で、英国のEU離脱を意味します。
合意なき離脱:No deal Brexit
・・・EUと英国の間で何の取り決めもなくいきなり完全な離脱となることです。これまでEUの一員であったものが、突然、何の協定もない第三国扱いとなるので、特に流通に大きな影響が出ると予想されます。
労働党:Labour
・・・またはLabour Party。中道左派政党。イギリス英語なので、LaborsではなくLaboursと綴ります。
保守党:Consevative
・・・またはConservative Party、正式にはConservative and Unionist Party。前身はTory Partyで、現在でも俗称としてToryと呼ばれることがあります。
上院:House of Lords
・・・Lordは貴族を意味します。貴族院とも呼ばれます。世襲貴族と一代貴族からなりますが、いずれも非公選制で、選挙はありません。
下院:House of Commons
・・・Commonsは庶民、一般人を意味します。庶民院とも呼ばれます。公選制で、議員(MP)は選挙で選ればれます。選挙は5年毎に行われます。
国会議員:MP
・・・MPはMember of Parliamentの略。直訳は国会議員ですが、実際は、下院議員を意味します。複数の場合は、MPsと表記されます。
強硬離脱派:Hard Brexiteers
・・・Brexitを推進する人で、eersを付けています。Brexiterとも呼ばれるようです。
合意なき離脱も辞さない強硬派です。代表はジョンソン首相です。
穏健離脱派:Soft Brexiteers
・・・混乱を避け現実的な対応を望む離脱派で、代表はメイ前首相です。
残留派:Remainers
・・・残るを意味する動詞remainに人を表すerを付けたものです。
国民投票:Referendum
総選挙:General election
国会解散:Dissolution of the parliament
・・・日本のように首相が突然解散を宣言し解散総選挙を行う場合は、snap electionというようですが、英国は国会の承認が必要なので、単純に解散を意味するdissolutionが使われます。国会が解散されるは、The parliament is dissolvedとなります。
賛成多数で可決:The ayes have it
・・・何故The ayes have itというかについては、関連記事をご覧ください。
反対多數で否決:The nays have it
・・・The ayes have itの対語です。同様に関連記事をご覧ください。
バックストップ:Back stop
・・・北アイルランドとアイルランドの間に国境を設けることなく、北アイルランドをEUの関税同盟、単一市場の中に残そうという考えのことです。過去の北アイルランド独立紛争の反省を踏まえ、国境を設けることで、民族運動を刺激しないようにという配慮からきています。
離脱清算金:Divorce bill
・・・英国がEUにいる内に貢献するとした財政負担を離脱にあたり支払うこと。Divorce billは離婚手形のこと。Exit billとも呼ばれます。
法案:Bill
・・・政府の提出する法案はGovernment billと呼ばれます。今回、ジョンソン首相が提出した12月の総選挙法案も、Government billです。